ここんところ東京ゲームショウにCEATECと立て続けにコンベンションがあったため滞っていましたが、夏の頃の記事のフォローを続けます。
えーと、そうか。まだSIGGRAPHか(笑)
まぁ、ある程度時間が経って振り返ると違ったことも見えてきたりするので、これでよしとしてマイペースで続けます。
PS3専用タイトル「THE LAST OF US」のライティング技術の話題です。
SIGGRAPH2013では、このタイトルで実践された間接光の表現手法や、ソフトシャドウの表現手法についての解説が行われました。
[SIGGRAPH]文明崩壊後の世界を間接光で描いた「The Last of Us」のライティングシステムとは?
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20130723094/
興味深いのは間接光の表現の実装手法です。
採用されたのは「Reflective Shadow Maps」(RSM)と呼ばれるテクニックで、丁度、拙著の「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術 増補改訂版」でも今年行った改訂の際に10章で新たに取り上げた手法です。
シャドウマップとは、光源を視点としてシーンの深度情報だけでレンダリングすることで、遮蔽物までの距離分布を表したものです。これは「影か否か」の判断データとして用いられますが、RSMでは深度情報だけでなく、ワールド座標系の座標情報や法線ベクトル、拡散反射のライティング結果(アルベド、反射率)をもレンダリングします。これによって生成されるデータ(RSM)は「その光源が、シーン内を直接照らした照明結果を、方向や位置情報付きで格納したもの」と言えます。
光源から直接ライティングされたもの同士が、さらに相互にライティングしあったものが間接光による照明なので、「これからレンダリングする対象のピクセル」を直接光でライティングしたうえで、さらにRSMに記録された間接光を光源にしたライティング結果を使ってさらにライティングしてやろう…というのが,RSMの基本概念です。
「THE LAST OF US」では、やや限定的に活用されたようですが、PS4,Xbox Oneのタイトルなどでは、より広範囲に応用するようなも採用例が出てくるかもしれませんね。
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