CEDEC2013の記事フォローに戻します。
発表されたのは昨年ですが、今年は、ピクサーのエンジニアとなった手島孝人氏(Pixar Animation Studio,Studio Tools Department,Software Engineer)が、日本にやってきて、CEDEC2013でご自身でセッションもやられ、ボクのパネルディスカッションにも登壇してくださったことから「OpenSubdiv」の話題が盛り上がりました。
合わせて、ピクサーのグラフィック制作スタイルが紹介されて、それもまた、ゲーム業界には衝撃を与えました。
[CEDEC 2013]なぜPixarのCG制作手法はゲームグラフィックスと違うのか? 「OpenSubdiv」セッションレポート(前編)
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20130824013/
上の階段の手すり支柱は右が実際の3Dモデル(実際には制御点のポイントデータ)で、わずか581ポリゴン程度しかありません。これを実際のレンダリング時には、1ピクセル未満のマイクロポリゴン化してレンダリングします。その際に上の左側のような、なだらかな曲面を適応型生成するわけですが、その際に用いられる技術がピクサー拡張型のCatmull-Clark法のSubdivision Surfaceです。
これをオープンソース化してGPUアクセラレーションしてリアルタイム化して言っちゃおうというのがOpenSubdivプロジェクトのコンセプトです。
これまで彼らのアルゴリズムにはライセンス料が発生していましたが、これを昨年ピクサーは放棄してフリー公開したというわけです。
そのため、ゲーム業界でも使えるかな…とこぞってゲーム開発シーンが興味を示したのでした。
[CEDEC 2013]「OpenSubdiv」セッションレポート(後編) :OpenSubdivの今後とゲームグラフィックスの関わりについて
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20130826036/
記事は前後編に分かれています。
前編ではここで述べたような概念の話、後編では、OpenSubdivのより実装に近い話題をまとめました。
ゲーム開発シーンでは、これをリアルタイムに持っていこう動きはほぼ無く、それよりは、3Dモデリングのパイプラインに組み込む、いわば制作スタイルの方に応用していくことから始めていこうという雰囲気になってきています。
それにしても、ピクサーはモーションキャプチャーをほとんど使ったことがないとか、モデル内に仕込むボーン数(リグ数)が数百~数千とか、ゲーム業界からすれば明らかに異質なスタイルです。
ただ、確かに異質なんですが、彼らにはそれでやってきた20年以上の実績があるわけで、そこがまた「俺たちゲーム側も、こういうのやっていくべきなのかね?」という感じで、ゲームグラフィックスのアーキテクト達がちょっと意識してしまっているようですね。
そうそう。
ミニ情報ですが、ピクサーはこれまで大局照明は、いわば職人芸的疑似手法のバーチャル・ポイント・ライト(VPL)だったようですが、最新作の「モンスターズ・ユニバーシティ」では、ちゃんと計算した間接光でライティングしたのだとか。ただ、相変わらず、アニメーションは全て「手付け」らしいです。そんなことを思いながら、この作品を見るとまた楽しくなりそうです。
ちなみに、「モンスターズ・ユニバーシティ」に付属している短編作品「ブルー・アンブレラ」も計算の間接光らしいです。まぁこちらはフォトリアルなので「そら、そうだよねー」という感じですけども(笑)
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