プラズマを終了させたパナソニックの最初の一手

 パナソニックは2013年10月31日にプラズマディスプレイパネル(PDP)製造やプラズマ関連製品からの事業撤退を発表しました。

 事実上、40~60インチサイズの普及画面サイズで4K解像度が実現不可能なPDPは、遅かれ早かれそのライフタイムが収束に向かうことはわかりきっていました。他メーカーがどんどん撤退する中、パナソニックは、よくここまで堪えたと思います。

 大画面☆マニアでは普通に指摘してきた「時分割式のフルカラー発色」「発光効率が悪く暗い」「放電現象を使う原理上、画素隔壁構造の微細化が困難で、高解像度化に向かない」といったPDPの原理的な負い目は、AV誌ではタブー扱いだったので語られることはありませんでしたが、とにかく、そうした負い目を新技術でカバーしてくるパナソニック(とパナソニックに合流したパイオニア)の情熱にはいつも感心していました。

 最終型のPDPの画質は、フルHD映像パネルが表示するものとしてはかなり上質だと思います。



 もう、流通在庫だけになるはずなので、最終プラズマを所望される方は急いだ方がいいでしょう。

 この「パナソニックのプラズマ終幕劇」に際しては、編集部からの依頼でボクも、やや「受け狙い」のコラムを寄稿しています(笑)。

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【特別企画】パナソニック プラズマ事業終息に寄せて
「残念」、「未だ基準はプラズマ」。御意見番の感想

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http://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/20131101_621839.html

 さてさて、解散したプラズマ開発チームの一部は、今は液晶パネルの画質チューニングに参加しているようです。

 International CES2013では、そのプロジェクトのお披露目が行われていました。

 それがプラズマ画質を液晶で実現する「Studio Master Drive」技術です。

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西川善司の大画面☆マニア第185回
CES編:パナソニック、液晶でプラズマ画質完全再現?
4Kプロジェクタを小型/低価格化するPixel Quadrupleも

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http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20140109_630244.html

 液晶パネルはバックライト輝度が下がる暗い階調表現の時ほど色再現性が悪くなる傾向があります。暗い映像になればなるほど、黒浮き割合が多くなって、本来出したい色が出にくくなります。

 「Studio Master Drive」技術では、直下型バックライトを組み合わせたときのバックライトのエリア駆動と液晶パネルの駆動を全て見直し、プラズマテレビの画質開発チームがこれまで培ってきた、輝度IRE0%から輝度IRE100%までの全輝度における、プラズマの色再現性を移植する方向で画質を再設計しています。

 「プラズマ画質を再現する液晶テレビ」…というのは、技術的には、なんだか不思議な響きのあるキーワードになりますが、マーケティング向けのキーメッセージとしては特定のユーザーには高い訴求力を発揮しそうです。

 この技術が採用された液晶VIERAの登場には大きな期待が寄せられそうですね。
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