今年のCESでは、3D,4Kに次ぐ、新たな映像技術トレンドを打ち出そうとする動きがありました。
それが、ダイナミックレンジ復元です。
西川善司の大画面☆マニア第187回
3D、4Kの次はダイナミックレンジ復元!?
ソニーのARメガネ、秘密は薄さ1mmのレンズに
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20140117_631033.html
3D映像は奥行き方向を再現し、4Kは解像度をさらに高めて映像のリアリティを向上させますが、ハイダイナミックレンジ復元では、現実世界のコントラスト感を再現しようとします。
現実世界の情景は、カメラで撮影された時点で映像データフォーマットに収まるダイナミックレンジに圧縮されてしまいます。もともとは眩しい煌めきも漆黒の暗さも、400カンデラ程度の輝度範囲内で256段階で表される表現体系に圧縮されてしまいます。
これを現実世界のコントラスト感に戻す…のは無理でも、よりその状態に近づけようとするのがハイダイナミックレンジ復元です。
東芝はレグザZ8で、いち早くこの概念を「ハイダイナミックレンジ復元」機能として導入、ソニーも2014年モデルのブラビアで「X-tended Dynamic Range PRO」機能として導入を計画しています。
東芝とソニーのハイダイナミックレンジ復元は、いわば元の現実世界の情景のコントラストを推測して戻すものですが、Dolbyは、撮影段階から映像データに追加のハイダイナミックレンジ情報を付加するソリューション「Dolby Vision」を今回、発表したのでした。
MPEG4-MVCの規格内で追加情報を盛り込むため、例えば未対応の従来のMPEG4機器ではただ無視されるだけで互換性も取れるとされています。
これまでにも液晶テレビで、バックライトの明暗分布を局所的に制御する「エリア駆動」(ローカルディミング)という技術が実用化されてきましたが、イメージ的には、あれに近い局所的な輝度分布情報がMPEG4ストリームに盛り込まれるようなイメージかと思います。
MPEG4ストリームに追加情報を潜り込ませるテクニックは、パナソニックも「
マスターグレード・ビデオ・コーディング(MGVC)」として実践しています。MGVCは追加の色情報を潜り込ませるもので、既にジブリアニメ作品を中心に対応ブルーレイが出ています(下)。
まぁ、映画業界に大きなコネクションを持つDolbyが提唱する規格なので、賛同するスタジオが出てくれば映画などから採用が始まるかも知れませんね。
詳細は記事の方をどうぞ。
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