試験に出るゲームグラフィックス「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」編の後編です。
前編では「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」のゲームグラフィックスの描画系の技術解説が中心となりましたが、後編では、3Dグラフィックシステムで実装した2D格闘ゲームならではの工夫の数々を紹介しています。
感覚的なアニメ的論法をリジッドな数学ベースの3Dグラフィックスの世界でどう実装したか…この辺りにスポットライトを当てています。
下は、普段のゲームプレイでは見る事の出来ない、カメラが回り込んだ状態でのバトルを収めた貴重な映像です。
西川善司の「試験に出るゲームグラフィックス」(2)「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」で実現された「アニメにしか見えないリアルタイム3Dグラフィックス」の秘密,後編
http://www.4gamer.net/games/216/G021678/20140714079/
カプコンの「ストリートファイターIV」でもありましたが、「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」においても、背景を歪ませるモデリングテクニック、透視投影と平行投影にまつわる歪み修正、キャラクタの部位強調表現などの話題も取り扱っています。
個人的に興味深かったのは、リミテッドアニメーションの採用の話です。
「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」のキャラクタは3Dモデリングされ、ボーンまで仕込まれているのでボーンを動かせば、そのボーン軌道でキャラクタは動きます。
ただ、これでは2D格闘ゲームらしい(あるいはアニメらしい)、コマが抜かれた独特なスピード感を伴った動きが表現出来ないと判断し、なんと、何もしなければ毎秒60コマで生成される動きをあえてキャンセルし、1コマ、1コマ、アニメーターがポーズを設定し、その都度2D格闘ゲームの2D当たり判定を設定する作り込みでアニメーションを実現しているのです。
同じ3Dグラフィックスベースの2D格闘ゲームである「ストリートファイターIV」と、動きの面で「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」の方がより2Dっぽいのはそのためです。
まず、下は、コマの間引きなしのソルの剣撃アニメーションです。
ぬるぬるとスムーズに動いているのが分かるかと思います。3Dゲームグラフィックス的ですし、あるいはディズニーのフルアニメっぽい感じもします。
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続いて「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」が採用した、コマを抜いた(正確には、アニメーターがコマごとのポーズを設計した)リミテッドアニメーション版がこちらです。
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どちらが好きかは好みの問題ですが、「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」が採用したリミテッドアニメーション版の方が、2D格闘ゲームっぽい動きであると同時に、日本の作画アニメっぽい動きになっているのはよく分かるかと思います。
さて、「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」は今秋、PS3版とPS4版が発売されます。
記事では触れていませんが、ゲーム仕様面で両者に差はないものの、ハードウェアスペックの違いから、グラフィックスの仕様面で若干の差が与えられると思われます。
レンダリング解像度などの面でPS4版の方が上になる見込みですし、PS4版はアーケード版と同じRGB各16ビットの64ビットHDRレンダリングが採用されるはずです。一方、PS3版はGPUスペック的にPS4版とは同仕様にはならないと思われます。他の多くのPS3タイトルと同様、RGB各8ビットの32ビット疑似HDRレンダリングになるはずです。
まぁ、想像通りというか、改めて言うまでもないでしょうが、より高いグラフィックス品質を楽しみたいならばPS4版の方がよいでしょうね。
Comments
2009年のGDCの小野さんの講演でその話が挙がっていたと思います。
(GAMEWATCHの西川さんの記事です)