CEDEC2017の任天堂の「ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド」関連セッションの各メディア(4gamer、GameWatch、ファミ通など)の記事において、掲載後、数日経って画像が全削除されつつあることについて、ボクの方にもSNSなどを通じて問い合わせが来ているので簡単に説明しておきます。
ボクの記事(下)も、もともと撮影した写真を使った記事になっていましたが、今はもうセッションで示されたスライド写真は一切ありません。他のメディアのものと同じ状態です。
[CEDEC 2017]「ゼルダの伝説BotW」の完璧なゲーム世界は,任天堂の開発スタイルが変わったからこそ生まれた
http://www.4gamer.net/games/341/G034168/20170901120/
今でもこの記事中には「下に示したスライド」「上のスライドを見てみると」のような表現がそのまま残っているので、今見ると不思議な体裁になってしまっていますが、記事末に「※2017年9月5日追記:任天堂広報からの依頼に基づき,スライド画像を削除しました。」とあるように、記事中のスライド画像だけカットされたという流れです。
任天堂広報の言い分としてはセッション中の「撮影は全面NG」というスタンスだったようですが、CEDEC事務局によれば公募提出時の任天堂側の聴講ポリシー設定が「一般来場者の撮影NG」「当日のメディア取材OK」というものだったそうです。
「当日のメディア取材OK」は、実質的に「メディアの撮影はOK」という意味になるので、こうして各メディアで記事化がなされる経緯になったワケです。
ちなみに、下が会期中に記者達に配布された取材不可セッションの一覧です。
任天堂のセッションは取材不可リストに入っていません。
また、セッション開始時には、「メディア以外の撮影は禁止させていただきます」(つまりメディアは撮影OK)という館内放送は流れていましたから、CEDEC事務局側は任天堂側から提出されていたポリシーに従っていたことになります。慎重な記者によっては、講演者の方々にセッション開始前に撮影がOKか確認した方もおられたようで、その際にもOKをもらっていたようです。なので、メディア側も「メディアの撮影はOKなんだな」というコンセンサスになっていました。
また、任天堂の方々から、ボクら記者達に「登壇中の写真があったら記念に下さい」というお願いもありましたし、少なくとも任天堂側の講演者の方達は、任天堂の広報側が考えていた厳しいポリシーはご存じなかったと思われますね。
なにより、ボクの記事(上)に対しても、任天堂の中の人達からも「分かりやすく書いていただきありがとうございました」という素敵な謝辞も頂けていましたし、講演者の方達は、会期中は、みんな写真付きの記事化に関しては賛同的でした。
恐らく、任天堂広報としては、「CEDECのセッション記事が盛り上がっているな」「あれ? 記事にスライドとかの写真が入ってるじゃん。当初考えていた事態と違うじゃん!」と、ネット上の盛り上がりに気が付いて「削除してください」と「火消し」(?)にまわったんだと思います。
ただ、各メディアにあがったネット上のほぼ全ての「ゼルダCEDECセッション」記事に対して、一般読者からもとてもよい評判が寄せられていただけに、今上がっている記事から写真を強制削除させる判断は、このタイミングではあまり得策ではない気がしました。
まぁ、某事件のようにDMCAの悪用をして削除させているわけではないですし、単純な「任天堂広報とCEDEC事務局間での意思疎通の齟齬」を発端とした「事故」という感じですからわざわざ「ニンテッドリー事件」というほどの事態ではないとは思いますが、セッションで公開されていた写真や画像はゲームのネタバレに直結するものはなかったですし、機密流出に繋がる内容でもなく、むしろ「ああ。任天堂のゲーム制作スタイルってこうなのか。すごいね。さすがだね」と感服させられるものばかりでしたから、シンプルに「もったいないなぁ」とは思いました。
また、任天堂の各セッションは、
CEDECライブラリのタイムシフトでパソコンやスマートフォンから見られるので、記事からの画像削除はあまり意味がない、という指摘がありますね。
ざっと見た感じでは、ファミ通や4gamer、GameWatchは任天堂広報の削除依頼に対応したようですね。
今後の動向に注目ですね。
ボクは、今回のCEDECのゼルダ関連セッションでは、もう一つ「ゼルダのグラフィックスエンジン」のセッションがとても面白くて、記事にしたかったんですよね。
Wii UでもSwitchでも同一のグラフィックスエンジンを採用していて、Deferred Renderingを採用していたり、Deferred Renderingで半透明オブジェクトを描画するにあたり、負荷軽減の観点からForward Renderingを採用しない工夫の話とかを是非とも紹介したかったので残念です。
講演者の方もとても気さくな方で、セッション後のフリートークにおいては、いろいろと追加の説明もして頂きました。
それと、以前、上げていたボクのYouTubeでゼルダのグラフィックスについて考察を展開したことがありましたが(上)、今回のセッションの内容を聞くと、一部、実際の実装ではこの考察と違っていたところもわかったりしたので、そのあたりについては記事で言及したかったところです。
来年は「スプラトゥーン2」のセッションがあるといいのですが…果たしてどうなりますかね。
なんとかうまく収束するとよいのですが。
Comments
メディアによって、従うところと従わないところが出てきていますね。
「通常とは変わったルールを設ける」場合は事前にCEDEC事務局に報告しておき、その内容を事務局がリストに備考の形でまとめて、我々がその日の朝に一人一人手渡されて事務局の担当者から説明を受ける流れです。その紙にはそういう特例事項の特記はなかったのです。
だからこそ、多くのメディアが、あとから対応を行う羽目になったと言うことです。
当日、CEDECに来ていたメディアがみんなオッチョコチョイだったという仮説も立てられますが、ちょっと考えにくいと思います。
ちなみに、このブログで書かれていることは、僕の調査の範囲内での報告です。
そして、いくつかの記事はまだ画像が掲載されていますね。
(2017.9.10時点でたとえばこれ)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1078846.html
そちらにも事情を聞いてみてはどうでしょうか。
ちなみに、ボクは記者としてCEDECに参加していますが、同時にCEDEC2017では二日目の1限目でセッションの講演を行っているので、公募フォームにその取材規定を提出しています(当然例外ルールなし設定)。
この取材規定の設定は細かく設定出来る反面、やや煩雑で、毎年、少なからず、設定をミスされる講演者(社)がいます。このフォームは年々改善されてきていますので、来年はさらに改善がなされることでしょう。
今回の任天堂の案件は、事務局でも議題になっているようですから。
取材OKであっても撮影可能なのは講師、スライドタイトルだけでは無いのですか?
CEDECのメディア向け取材規定を読む限りそう取れるのですが…
ブログにある「『当日のメディア取材OK』は、実質的に『メディアの撮影はOK』という意味になるので」が
メディア側でない人間からするとどうにも違和感を感じるので
この発言は、恐らく実際に会場に来たメディア関係者のものではないようですね。
CEDECはここ5年くらいは、取材規定について細かい説明を事務局が、プレス登録に来た人達に毎日その日ごとに細かく行います。また「その日行われるセッションの取材不可リスト」を配るのです。これは、会場に入ってから「取材出来ません」と分かったのでは時間的ロスが大きいからです。
そこには今回の任天堂セッションは含まれていなかったのでした。
このことは事務局にも確認済みです
>ファミ通は最初から画像掲載してませんでしたよ
ご存じかと思いますが、ボクはファミ通の連載も持っています。
なので今回、ファミ通編集部とのやりとりもしていますが、僕のファミ通の担当編集氏の説明によると、事前チェックを任天堂に回し、その段階で画像カットが行われたようです。
そうした「メーカー事前チェックありなし」かの設定も、事務局側から配布される前述の「取材NGセッションリスト」に記載されます。今回配布されたものにはなかったのでした。ファミ通は用心深いのでやったのでしょうね。
まぁ、今回の任天堂セッションは、ボク以外にも多数のメディアが記事化を行っていますが、ほとんどの記事が掲載後に画像カットをさせられているので、少なくとも会場にいたメディアに、任天堂の思惑が行き届いていなかったことは確実です。
事前確認してOKもらっている人も複数いますしね。
講演そのものは本当にすばらしく、どのメディアもかなり気合を入れて書かれていて、長らく読者に読んでもらえるような記事になったと思うので本当に残念です……。
ですので、
>ざっと見た感じでは、ファミ通や4gamer、GameWatchは任天堂広報の削除依頼に対応したようですね。
の部分は誤りですね
記事表題やSNS発言のセンセーショナルな部分だけが独り歩きしたりして拡散してたので
そういう2次情報の制御不能ぶりを嫌ったのかもしれませんね
「撮影範囲は、講演中の講師本人、講演内容タイトルスライドおよび講師が許可したスライド」との事ですので
講演中に講師が許可を出さなければスライド撮影は不可、講師の撮影画像は許可となる為
任天堂側の講師と広報の判断に齟齬は無い様に思えますが…