最近はちょっと消極的でしたが、ボクの研究しているテーマに「勘違い日本」というのがあります。
研究していると言っても積極的に見つけてただ笑っているだけなのですけど。
最近は日本の正しい情報が伝わっているせいか、大きく外した物が少なくなってきたのですが、それでも数年に一回楽しい物が出てきます。
EAから発売される「
COMMAND&CONQUER RED ALERT3」はまさしく「勘違い日本」界の久しぶりの巨人です。
COMMAND&CONQUERといえば16ビットパソコン時代からある、アメリカのリアルタイム・ストラテジー・ゲームの古典シリーズで、日本で言えば「大戦略」シリーズに相当するような作品です。
時代設定は結構コロコロと変わり、作品によってSFだったり現代戦だったりするんですけど、今回はかなりはっちゃけた設定になっています。
なんとソ連が開発したタイムマシンによりアインシュタインが殺され、第二次世界大戦の結果が変わり、ゲーム世界としてソ連と日本が力を付けてしまった架空の未来世界が描かれます。
で、日本軍はオタク文化と軍事文明が融合したぶっ飛んだ文明観の兵器が目白押しで、これに加えて、アメリカ人の大好きな漢字テクスチャをいっぱい貼り付けた楽しいビジュアルになっています。
主力兵器となるロボット兵器はガンダムとマクロスとトランスフォーマーを掛け合わせたみたいなやつらになっていますし
そして、戦艦にいたっては、最近何かと攻撃的な松本零士が怒り出すに必要十分なデザインです。
今年のE3ではちょっとしたインタビューをこの作品の開発スタッフにしたのですが、そのときも「僕たちチームの中には日本のアニメや漫画がすきな奴らが一杯いて軍事ユニットとしてアレも出したいコレも出したいと話題に尽きなかったよ」ととても楽しそうに語っていました。基本的に多くのユニットに元ネタがあると考えて良さそうです。
ただ、歩兵ユニットについては日本のアニメ文化へのオマージュとか、そういうのは完全になくて、純潔なアメリカン色の強い「勘違い日本」の味わいが色濃くでています。
まさに、正統派の「勘違い日本」という風情です。
たとえば、一騎当千の歩兵ユニットですが、ツインテールの女子高生のカッコをしています。
開発スタッフは「彼女はキル・ビルのゴーゴーをモチーフにしてエスパーにした」と言っていました。
キル・ビルがすでに「勘違い日本」ジャンルなので、これを元ネタにしたということはいわば勘違い日本の二段活用となり、もう"日本"が取れて、すでにただの「勘違い」の領域に片足が踏み入っています。
空飛ぶ機動歩兵のロケットエンジェルなんかは、日の丸と兜(カブト)の角だけが日本のアイデンティティで、あとは何が何だか分かりません。
もし、ガッチャマンがぐれて千葉辺りで暴走族を始めたらこんな感じですかね
日本といえば忍者なわけですが、こんな忍者は、JRの改札を通る前に取り押さえられるでしょう。
ユニット名は「SHINOBI」ですが、これほど「名は体を表す」の意味からかけ離れたデザインも凄いです。
吐血して胸と両手首を怪我して流血している通り魔っていう風貌ですよね。
いや、ほんと、褒め言葉として、わくわくするデザインです。
「日本といったら笠をかぶった歩兵だろ、ジョニー」
…という感じで、安直に戦国時代の足軽兵を未来化してしまったかんじなのが、こちら。
銃器のパワーパイプが笠のてっぺんに接続されているデザインが涙を誘います。機能美を追求してこうなったのだとしたら、グッドデザイン賞をあげたいです。
しかし、こんなのが攻め入ってきたら、敵も「近所でおめでたいことがあったのかな」くらいにしか思わないでしょう。
「勘違い日本」デザインとしてはこの上なく100点満点に近い秀逸なデザインだと思います。
と、まぁ、そういうわけで、かなり楽しそうなゲームです。
ここで紹介したユニットの実際のゲーム中でのグラフィックスは
ここで見られますので、興味がある人は是非ご覧ください。
あと、
日本語マニュアル付き英語版が今週、10月27日に発売されますので、是非買ってプレイしてみてください。
さらに、おまけですが、「勘違い日本」ゲームについて高い網羅性を持って紹介しているサイト「
Jap In the Box」は、かなりおもしろいのでこの手のテーマにビビっと来ちゃった人はそちらも行ってみてください。最近は更新が止まっているのが残念ですけどねぇ。
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