西川善司の大画面☆マニア第106回 ソニー「VPL-HW10」

 たぶん、今年、もっとも注目を集めているホームシアター向けプロジェクタがこのソニーの「VPL-HW10」です。

 これまで、反射型液晶プロジェクタは非常に高価なものでした。
 反射型液晶パネルはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)とも呼ばれ、一般的な液晶プロジェクタの形態である、透過型液晶パネルと比べて

・開口率の高さによる格子筋の細さ→粒状感の少なさ
・黒の沈み込みの優位性

という利点があります。
 ただし、この上記二点であれば、DLPプロジェクタもそうです。
 しかし、LCOSプロジェクタには、DLPプロジェクタにない、液晶らしい 

・アナログ感あふれる階調表現

 という強みもあり、語弊覚悟でいえば、LCOSは透過型液晶とDLPのいいとこ取りということができるでしょう。

 この反射型液晶プロジェクタ(LCOSプロジェクタ)は元来、高価なハイエンド製品にしか採用されていませんでした。

 僕も10年前、1998年に出始めのLCOSプロジェクタを購入しましたが、当時で150万円くらいしました。

 そのLCOSプロジェクタを、ソニーは25万円で出してきたのです。

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西川善司の大画面☆マニア第106回
価格破壊のLCOSプロジェクタ風雲児
~ 実売25万円のフルHD SXRD。ソニー「VPL-HW10」 ~

http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081226/dg106.htm

 画質の本質部分については先代のVPL-VW60に近いのですが、それまでのVPL-VWシリーズを知っている人間からするとVPL-HW10はコスト削減の爪痕が気になります。

 優れている点は多いのですが、今回の評価では、色ずれが大きいことが気になりました。

 素の状態だとこんな感じです。

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 パネルシフトアライメントという調整を行うとここまで補正できますが

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 安く作るためにいろいろと妥協している部分はあるようですね。

 しかし、「初めてホームシアター・プロジェクタを購入したい」という人にとっては文句なくお勧めできます。

 どうしても、我々のような画質マニアは、「SXRDのプロジェクタ」ということでどうしてもこれまでのハイエンド機のイメージで見てしまうので評価が厳しくなるのですが、25万円という価格を考えると、VPL-HW10は文句なしにコストパフォーマンスに優れている製品だと思います。

 ただ、1点だけ補足しておきたいのが、前回の大画面☆マニアで取り上げたエプソンの透過型液晶プロジェクタの「EH-TW4000」の方がコントラスト感が強く見えたという点です。

 ちなみに、EH-TW4000は35万円くらいなので、VPL-HW10よりは10万円も高価で、ランク的にもどちらかといえば中堅機に属します。なので、VPL-HW10よりも上位の製品です。

 同列に比較することに、あまり意味がないことは分かります。

 ただ、それでも、透過型液晶機がLCOS機を、コントラストで上回る…というのは、プロジェクタを長年見続けてきた自分からするとちょっとショッキングでした。

 EPSONは、製造プロセスを工夫して、透過型液晶の開口率を上げる工夫をしてきていますし、近い将来、透過型も上級機は、LCOSの画質に追いつくかもしれませんね...



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