ビクターは事実上、
日本国内からのテレビ事業から撤退したそうです。
今後、映像機器は、プロジェクタのような投写型マイクロディスプレイデバイスに注力していくのだとか。
最近は忘れられがちですが、反射型液晶(LCOS)パネルを利用した量産型プロジェクタはビクターが一番乗りで、ソニーは二番手だったのです。
LCOSといえば、あのインテルが参入しようとしてCESで電撃発表したのにもかかわらず、うまくいかずに撤退しましたね。さらに遡れば、バイオニアもLCOSプロジェクタの企画を発表したことがありましたっけ(結局、開発が成功しなかった)。
…という流れもあって、ビクターは「LCOSこそが世界に誇れる独自技術」と自負しているようです。
ビクターの最後の自社映像技術LCOSの「D-ILA」。
それだけに、今期、登場したDLA-HD750とDLA-HD350には期待が高まります。
西川善司の大画面☆マニア第115回:レンズ性能が際立つD-ILA進化形
~ 新設計のフラッグシップ機。ビクター「DLA-HD750」~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20090306_43182.html
画質に関してはとにかくレンズ解像力の高さに驚かされました。レンズシフト対応でこのフォーカス力は大したものです。VPL-VW80は、ここまでレンズ性能は高くないので、同じフルHD解像度でも、光学解像度が高いDLA-HD750のほうがくっきりと見えます。
コントラスト感も凄いですね。全黒映像を表示した状態でスクリーン上で照度計にて輝度を計測したら「0ルクス」になってました。
ついに投写型映像機器でここまでの黒が出せるようになったとは…凄いことになってきましたね。
ただ、DLA-HD750。弱点もあって、映像がパンすると擬似輪郭が見えるんです。
これは不思議な現象ですが、あらゆる映像ソースで知覚できるので、今期のDLAシリーズの課題といえそうです。
あと、70万円台の商品としてはリモコンの質感がいまいちなこと、肝心なことが何も書いてない説明書も気になりました。
ビクターのDLAシリーズは、ボクは量産第一号機のDLA-G10を所有していたこともあるし、以降のモデルのほとんどを実際に見てきているほどのD-ILAファンです。
だからこそ、いわせてもらうと、なんというかDLAシリーズってちょっと「分かる人にだけ分かればいい」みたいな「
マイナリズムをかっこよし」と思っているような製品作りが感じられることがあるんですよねぇ。
ここをなんとかしないと、ライバルよりも優れた画質のものを作っても、たとえばソニーのVPLシリーズには勝てないと思います。
最新技術を載せたことのすばらしさだけじゃなくて、使いやすさとオーナーシップをかき立てる魅力作りも大切にしてほしいんです。
プロジェクタは、もともとニッチな製品なので、ここでさらに、突き放した製品作りをしてしまうと、さらに人から避けられてしまうはずです。
ビクター。がんばれ..
.!
Comments