3Dグラフィックス講座「バイオハザード5」編の前編です。
取材は4月の終わりにやっていたのですが、色々と忙しくて、今になってしまいました。
今回もカプコン開発チームは非常に協力的で、色んなネタを見せてくれました。記事中の素材の多さも凄いでしょ?
(この場を借りて感謝の意を表したいと思います)
西川善司の3Dゲームファンのための「バイオハザード5」グラフィックス講座(前編)
美形キャラに潜む“不細工な一瞬”が生み出すリアリティとは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20090529_170470.html
彼らがいうには「バイオハザード5は普通なことしかしてないんですよ…」と照れ笑いをするのですが、深く聞いていくと、色々と出てくるんですよね。ネタが。
たとえば、新しい…と思ったのは、スキニングの際の法線情報の再計算です。
ポリゴンモデルの外皮である頂点を変位させるのがスキニングの基本ですが、その際、頂点が摂動してしまうわけで、法線も動いてしまうはずなのです。
ですから、本来は、ちゃんと各頂点の法線ベクトルを再計算してやらないと、正しい頂点レベルの陰影が出ないんですね。
これは"肘"のスキニングでは大した問題にはならないのですが、顔アニメーションでは、これをちゃんとやらないとシワの陰影がしっかり出てこないので問題となるのです。
そう。顔の表皮の歪みは顔演技の豊かさに繋がってくるためです。
これまでは、このスキニングしたあとの法線ベクトルの再計算が負荷的に難しかったようですが、バイオハザード5では一定条件内でこれを行うようにしたということです。(詳しい解説は記事を参照してください)
これが効くと、一瞬、一瞬に、CGキャラの表情に、かなりの不細工顔が乗るのですが、この「
一瞬の不細工」が「
生きた表情」に見えることに繋がるんですね。
バイオハザード5は、ハリウッドとのコラボも凄いですけど、それだけではないんです。
技術面でも細かいエンジン(MTフレームワーク)の進化がなされていて、それがリアルタイムレンダリングとは思えない豊かな顔表情の表現に繋がっていたというわけです。
後編では、影、水面、GI、PS3版とXbox360版の違い…などの、これまでのこの連載で取り扱ってきた定番のテーマについて触れていきます
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