プロジェクタといえば、いっときはDLPが大ヒットしていた時代があったんですがフルHD時代になってからは、DLPはなりを潜めてしまいました。
フルHD時代に突入して勢力を研ぎ落とされてしまった点、そして時間積分的階調生成という共通点で、プラズマとDLPは良く似ています
プラズマがフルHDの波に乗り遅れたのは、パネルの高解像度化が技術的にうまく行かず2年も出遅れたことが大きな原因だったと言えます。
DLPはフルHD化に移行するにあたって技術的には問題はなかったのですが、やはり、DMDパネルの製造がTI一社独占という状況が響いて、コストがうまく下げられなかったのが敗因でしょう。
透過型液晶プロジェクタのフルHD機があっという間に30万円を切ったのに対し、DLPはいつまでも100万円前後に居座ることになってしまいました。
単板式DLPプロジェクタは映像パネルが1枚なのに100万円、透過型液晶プロジェクタは映像パネルが三枚なのに安い…。そういう単純な話ではないにせよ、コストパフォーマンスの面でフルHDの単板式DLPプロジェクタはその映像パネルが1枚であるコストメリットが全く活かせなかったのでした。
西川善司の大画面☆マニア第120回:待望のフルHDのDLP普及機登場
~DLP復権なるか? Optoma「HD82」~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20090821_309788.html
そんな中、遅ればせながら登場してきたのが、こちらオプトマのHD82です。
フルHDの単板式DLPプロジェクタとしては、破格に安い40万円未満の販売価格を実現した普及機になります。
画質の完成度は申し分無しで、
コストパフォーマンスにおいて満足度はかなり高いと言えます。
ただ、台湾のメーカーというバックグラウンドのためか、やや、日本ユーザーのニーズからずれた部分も散見されます。
例えば今時珍しい「打ち上げ投射」になっているところですね。ほぼ床置きか天吊り設置でないと理想的な位置に映像を固定できません。しかもレンズシフトが下方向に行けない(→投射映像を光軸下に持っていけない)のでオンシェルフ設置はほぼ絶望的なんです。
また、投射レンズが手動式というのも、ライバルの同価格帯液晶機が電動に移行してしまっていることを考えると、ちょっと遅れている部分と言えます。
ただし、投射レンズ自体の
光学性能は優秀で色収差やフォーカス斑も最低限に抑えられています。
あとはマニュアルが多言語仕様なところ、メニューの翻訳が怪しいところとかは舶来品な感じで、その意味では、やはり初心者向けというよりは「
玄人なDLP好き向け」という感じなのかなあ、という気がしました。
今年は、逆に透過型液晶機が停滞するといわれていますし、TIも新パネルを投入するというウワサもあります。
なので2009年下半期はDLPにとっては巻き返しのチャンスなのかもしれません。
期待していましょう
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