現在発売中のDOS/V POWER REPORT/10月号のP.8~9に掲載されているNVIDIAの広告記事を担当しました。
「Windows7を動かすのにGPUがあるとこんなに都合がいい」というのがメインコンセプトの広告記事になります。
Windows7ではDirectX10.1が統合されていて、さらに最新3DグラフィックスAPIとしてDirectX11(Direct3D11)が提供されます。
そしてこれを機に、Windows環境として初めての標準GPGPUプラットフォームとなるDirect Compute(DirectX Compute Shader)が提供されるんですが、
これをうけてGPUメーカー側は「Windows7では一層GPUの活用が積極化していくだろう」…というストーリーを期待しています。
ただ、今回、マイクロソフト関係者に「Windows7の標準機能についてどれくらいDirect Computeが活用されているのか」という取材を進めてみたのですが、「よくわからない」という意見が大半でした。
その中で、あるマイクロソフト技術者が言っていたことで印象的だったのは、「Windows7で提供される標準機能を、GPGPUでアクセラレーションするように置き換えていくことに、マイクロソフトは慎重な立場をとるだろう」という意見でした。
最初はあくまでプラットフォームだけを提供し、その後、業界の反応を見て、一般的な定番ソフトでも活用が進むようであれば、マイクロソフトもWindows側の標準機能の処理においてもGPGPUに置き換えていく…。
マイクロソフトとしてはそういう算段のようです。もうちょっとユーザーも市場も、GPGPUに熟れてから…ということなんですかね。
まぁ、言われてみれば、現在のGPUの原形が登場して普及が勢いづいたのが1997年頃。GPU前提のWindows VistaのGUIシステム「AERO」が「標準搭載」となったのは、その10年後の2007年でした。
今はチップセット統合GPUでもGPGPUのポテンシャルがあるので、そこまで時間は掛からないでしょうが、Windowsの内蔵機能群、標準機能群の動作がGPGPUで実現されるようになるにはもうちょっと時間が掛かるかも知れません。
技術的に見ても現状のGPUは、まだCPU並の粒度の高いコンテクストスイッチングに対応していません。つまり、GPUは同時多発的に仕事が発生したときのスレッド切り替えの粒度が粗いんです。まだ、GPUは、仮想化の意味においてはCPUにおぼつかないですから、マイクロソフトとしてもまだ、「ファイル検索と動画デコードとネットワークのパケット処理をGPGPUでやらせよう」とは思えないんでしょうね。
ちなみにGPUのコンテクストスイッチングの粒度の高さが向上するのはGPUがWDDM2.1に対応できたときだとされますが、現状、WDDM2.1に対応できていません。
そんなわけで、この広告企画は、色んな意味で難産でした(笑)
この広告企画のページは裏表印刷されて1枚の紙ペラとしてPCパーツ売り場なんかにも置かれる予定なので、この難産の結果を見て上げてくださいませ。
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