GTC - NVIDIA「OptiX」を解説、レイトレーシングはインタラクティブの時代へ

 NVIDIAはリアルタイム/インタラクティブ・レイトレーシングエンジン「OptiX」を発表しました。

 GTC最後のレポートは、この「OptiX」についての解説です。

 これはCUDA上に実装されるプログラマブル・レイトレーシング・エンジンで、CUDAが動作するNVIDIAのGPU環境でアクセラレーションできるのが特長となっています。

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http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/10/14/gtc06/index.html

 記事には実際のムービーも上げていますので、そちらを見て欲しいのですが、ごく基本的な陰影処理に限定すれば、ハイビジョン解像度で30fpsが出るほど高速です。

 ただ、リアルタイムで30fpsをだそうとすると陰影表現自体はものすごくシンプルにならざるをえなくなり、それこそちょっと綺麗なプレステ2の映像みたいになってしまってレイトレの旨味が出てきません。よって、現在の3Dゲームグラフィックスの表現手段が、突如としてレイトレに置き換わることは短期的にはあり得ないでしょう。

 しかし、解像度を犠牲にすることで、リッチなライティングを得つつ現実的なフレームレートを得ることは出来るはずなので、近い将来、640×480ドット程度で、やたらライティングがリッチでリアルな3Dゲームとかは出てきてもおかしくはありません。

Nvidia-Demos-Ray-Tracing-at-Siggraph-2.jpg

 このOptiX、とてもユニークなのが、レイトレーシングのプロセスをNVIDIA独自発想のレイトレーシング向けのプログラマブルシェーダー・アーキテクチャで構築している点です。

 このアーキテクチャが、とてもよくできていて、記事で一生懸命解説したので長いですが、ぜひとも読んでみてください。

 今後、このOptiXのプログラマブル・レイトレーシングのパイプラインは業界で標準化していっても面白いかも知れません。

 GPUやメニーコアCPUで、こうしたプログラマブルレイトレーシングエンジンをアクセラレーションできるようになると、かなり面白くなりそうです。

 そうそう。記事掲載には間に合いませんでしたが、NVIDIAに「OptiX」と「Gelato」の位置づけについて質問状を出したところ、以下のような回答が得られました。

 参考にしてください。

【Q】OptixとGelatoの位置づけの違いについて教えてください。
A: OptiXはNVSGからの流れを汲むもので、シーングラフをリアルタイムで処理するという目的で発展してきました。
   ここのところのGPUの高速化とCUDAというGPU Computingの開発環境の組み合わせでReal Time Ray Tracingを提供できるようになりました。
   一方のGelatoは市販のCGソフトユーザーが高速なレンダリングをソフトウェアとして利用できるように提供してきましたが、その使命はOptiXとCopmleXの登場により終えつつあると考えています。

【Q】OptiXはGelatoに置き換わりますか
 A: 組み込む環境は異なりますが、ポジションとしては置き換わるものです。

【Q】NVIDIAとしては、プロフェッショナルレンダリングマーケットにはどちらを推していくのですか
 A: 3つの方向性を追求してます。
   1つはリアルタイム性で、これはOptiXでレンダリングするのを、単にレンダリングするだけでなく、SceniXのシーングラフの3D空間を複雑なオブジェクトをリアルタイムでアニメートしながら行うものです。もちろん、大きな空間や複雑なオブジェクトをリアルタイムで動かすのはGPUの負荷が重いのですが、それを駆動させるためにCompleXで複数のGPUを活用するプロフェッショナル環境を用意しています。また、ゲーム業界向けと思われているPhysXもこの範疇に入りますが、複数のGPUを活用ででないなどプロフェッショナル向きという観点からはOptiXになります。
   2つ目はソフトウェアでの高い品質を追求してゆくことで、子会社のmental image社のmental rayを販売してゆきます。
   3つ目ですが、これはユーザー様やデベロッパー様向けにCUDAを使用頂くことです。その事例としてSquare-Enixの藤井様が開発し紹介しておられるものがあります。これはSquare-Enix様社内のGlobal IlluminationをCUDAで動作させたもので、リアルタイムではありませんが、CPUに比べてGPU+CUDAで8倍以上の高速化を実現しておられます。もちろん、Global Illuminationですから非常に高い品質結果が出ています。

なお、SceniX, OptiX, CompleX, CUDA及びPhysXはSDKとランタイムの両方が無料でご利用になれます。ただ、mental rayはOEMソフトウェア会社から有償で販売しています。
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