2010年は各電機メーカーから3Dテレビがいろいろとリリースされるようですし、「立体視」は2010年以降のデジタルメディアにおいてビッグトレンドとなることが確実視されています。
今年のSIGGRAPH ASIAのEMERGING TECHNOLOGIES展示セクションにおいても、この立体視をフィーチャーした技術展示が目立っていたように思えます。
まず、面白かったのが日立製作所の「Light Field Copy Machine」と命名された立体視コピー機です。
SIGGRAPH ASIA 2009 - EMERGING TECHNOLOGIESブースレポート(後編)
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/12/31/siggraph06/index.html
簡単に言うと、対象物を多視点で捉え、その映像を裸眼立体視で表示するというシステムです。
通常、裸眼立体視は、想定される視点数を2~8程度にしますが、この日立のシステムでは想定視点数が100以上という強力なもので、見る位置を変えると的確にその視点からの立体像が得られるようになっています。
想定視点数が2~8程度の従来方式では観測位置をずらすと、見える映像が急に別視点からのものに切り替わってしまうジャンピングという現象が知覚されるのですが、このシステムでは視点数が多いのでそれがないというわけです。
この超多視点立体像を作り出すために、このシステムでは100台近いプロジェクタを実装しています。
そうです、上の写真はその内部に搭載された100台近いプロジェクタの写真です。
より詳しい解説は記事の方を参照してください。
もう1つは、もう一つの立体視の形。映像を空中に結像させるという夢の技術です。
SF映画「マイノリティ・リポート」では、トム・クルーズの空中に結像した映像に対してジェスチャーでインタラクションするシーンが印象的でしたが、あれを現実化するのに少しだけ近づく技術を独立行政法人・情報通信研究機構が開発しました。
キーとなっている技術は面対称に映像を結像させる「面対称結像光学素子」という光学素子です。
この面対称結像光学素子が一体どういったものなのか…については記事の方を参照して欲しいのですが、簡単に言いますと、ミクロサイズの細かい鏡を直角に接合したものを無数に配列させること(微小2面コーナーリフレクタアレイ構造)で、ある位置の点光源から発せられた光線を、その平面内の全ての2面コーナーミラーで反射させて、その反射光がその位置の面対称位置を必ず通るようにしています。
この特殊ミラーは、現在、直径10cm強程度の大きさで製造に車1台分のコストがかかるのだとか。つまり数百万円??
「マイノリティ・リポート」的な大画面空中GUIの実現までにはしばらく時間もコストもかかりそうですが、夢の溢れる話ではあります。
Comments