3Dゲームグラフィックス講座「End of Eternity」の後編です
トライエースのASKAエンジンの特徴の1つに、実在のものに近いカメラシミュレーションを実装している点が挙げられます。
フォトリアルを実現する大きなポイントとなる画角、ボケ、ブルーム、フレア、そしてモーションブラーに至るまでの要素が、ポストエフェクト…というよりは、ASKAエンジンのレンダリングパイプラインの中のカメラシミュレーションによって提供されるのです。
ボケフィルターは有限個のサンプルでありながら、大きな絞り形状のボケが出せるように、と、MIP-MAPを駆使しているのもユニークです。
徹底したカメラ・シミュレーションの実装は、トライエースのR&Dチームの趣味性が入っている可能性もありますが(笑)、ただ、「現実のカメラの撮影経験が活かせる」というのは思い通りのシーンを作り出す際にはプラスに働くはずです。
西川善司の3Dゲームファンのための「End of Eternity」グラフィックス講座(後編)
影生成から物理シミュレーションまで様々な実装テクニックを紹介!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20100402_358465.html
物理シミュレーションは、トライエースのオリジナルのものが、バージョンアップしてASKAエンジンに搭載されているため、EoEでは、主にこれを活用するような実装になっているそうです。
基本設計は大きく変わらないとのことですが、演算精度を上げたり、摩擦の処理をよりキマジメに処理するようにしたり、順当なグレードアップが実現されています。また、物理シミュレーションについて、PS3版ASKAエンジンはCELLプロセッサのSPEを活用するように最適化されているとのことです。
3Dグラフィックス性能はXbox360のGPUの方が優秀であるため、Xbox360版でグラフィックスを設計してしまうとあとでPS3版が大変になる…というのが今世代機のゲーム開発の定説ですが、物理シミュレーションに関しては逆転現象が起きることがよくあります。
EoEは、物理シミュレーションをヘビーに活用するゲームではなかったため、差異は出ていませんが、試験的に同じ重さの物理シミュレーションを実行するとXbox360版よりもPS3版の方が負荷が低いそうです。
対称型3コア対非対称型8(7+1)コアの優劣は、今度登場すると言われるモーションコントロールシステムの演算負荷にも効いてくる…ということが漏れ聞こえてきています。
PS3のPS MOVEは1基のSPEで処理させるだけで十分なパフォーマンスが出るとのことですが、Xbox360のProject Natalは、その処理負荷がシステム全体に占める割合が大きく、これがゲーム開発の障害になり得る、と懸念されているそうです。
話がだいぶ脱線してしまいましたが、PS3,Xbox360、まぁ、それぞれに、一長一短があるということですね。
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