「ロストプラネット2」PC版に採用されたテッセレーション技術の詳細解説記事です。
DirectX11世代のGPUには、テッセレーションステージという新しいシェーダーステージが新設されています。
この機能を活用したタイトルはポツポツと出てきてはいるのですが、その使い方はあまり積極的ではありませんでした。
その意味では「ロスト プラネット2」PC版は、おそらく商用タイトルとしては日本だけでなく、世界的に見ても現時点では、最もテッセレーションステージをヘビーに使いこなしているといえるかも知れません。
CEDEC 2010 - Windows版「ロストプラネット2」にみるDirectX 11フィーチャー(前編)
http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/09/02/cedec01/
テッセレーションのメソッドについてはいくつかのアルゴリズムが考案されていますが、「ロストプラネット2」PC版では、ゲーム向けとしては最も現実的な選択と言えるPN-Triangles方を採用しています。
ただ、その実装は一筋縄ではいかなかったようで、ポリゴンを分割して滑らかな曲面を生成すると、ある特定の悪条件が重なった箇所でポリゴンの継ぎ目部分に裂け目(クラック)が発生してしまうことがありました。
記事では、開発チームが行ったこの問題に対する対処方法を解説しています。
テッセレーションステージのもう一つのウリの機能にディスプレースメントマッピングがあります。
「ロストプラネット2」PC版では、このディスプレースメントマッピングにも対応します。
これはDirectX9世代のGPUでもVTF(頂点テクスチャリング)を応用する事で実践することは出来ましたが、DirectX11のテッセレーションステージではこの仕組みをシステマティックかつプログラマブルに行えます。
ただ、こちらも苦労して実装したわりには表現クオリティ的に報われなかったようです。
これは技術的な問題というよりは、もともと、カプコンの優秀なアーティストチームが、ハイポリゴンでディテールを作り込んでいたために、「せっかくディスプレースメントマッピングを用いたのに目立たない」…ということのようです。
MTフレームワークの中核を務める石田氏は
「テッセレーションステージの効果的かつ徹底活用はコンテンツパイプラインの見直しがないと難しい。コンテンツパイプラインの改編はPS3,Xbox360がDirectX9ベースである以上、今すぐ行うのは難しい。」
という感じのコメントをCEDECのセッションの中で述べていました。
とはいえ、数々の面倒くさいハードウェアの違いをMTフレームワークの柔軟性の向上で吸収してきたカプコンの技術力を見くびってはいけませんよね。
今後そうした問題も解決していってくれそうな期待感はあります。
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