今回の「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」のお題は、シリコンスタジオの「OROCHI」です。
OROCHIは、次世代機までの対応を想定したオールインワンタイプのゲームエンジンで、今夏稼働予定のスクウェアエニックス制作のアーケードゲーム「ガンスリンガーストラトス」に採用されたことが話題を呼んでいます。
既に、PS VITAへの対応も完了しており、以下の動画は、同一コード、同一コンテンツベースでWindows,PS3,PS VITAでリアルタイム動作している様を記録比較したものです。
西川善司の3Dゲームファンのための「OROCHI」講座
スクエニも採用した純国産のオールインワン型ゲームエンジンの実力を探る!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20120601_531815.html
OROCHIは、ゲームエンジンとしては後発なのですが、日本の開発シーン、開発スタイルに適合させた形で設計されており、その意味では、カプコンのMTフレームワークのような日本スタジオが必要に迫られて自社向けに開発して来たエンジンに近いものがあります。
ただ、OROCHIの場合は、自社向けではなく、商業向けエンジンであり、また、クライアント(ライセンシー)の要望やプロジェクトスタイルにあわせたカスタマイズまでを行ってくれるところがユニークな点です。
開発メンバーは、PS3,Xbox360黎明期に修羅場を見てきた人たちで構成されているとのことで、日本のゲーム開発シーンの実情を「いい意味でも」「悪い意味でも」知り尽くしている分、心強いといえます。
それと、プロジェクトリーダーの新井氏が強調していたのは、OROCHIのサポート拠点が日本であるという点でした。
シリコンスタジオは日本のミドルウェアスタジオですから、日本国内のクライアントの開発現場でOROCHI側に何か不都合が発生したときには、それこそ最短ケースではその日のうちにヘルプが行えるわけです。
このサポート力の高機動性は、海外製エンジンに対しての優位点になりえます。
それと、OROCHIにはYEBISやBISHAMONのフル版が同梱してくる点も業界では高く評価されているようです。
ちなみに、スクエニの「ガンスリンガーストラトス」(上画像)のプロジェクトでは、開発が佳境のタイミングで、新井さんはもちろん、KAWASE式テクニックでお馴染みのYEBISの開発リーダー川瀬さんまでが現場に出動したという噂です(笑)
この2人が現場にやってきたら確かに「サポート手厚いなあ」って思っちゃいますよね(笑)
Comments
http://www.4gamer.net/games/116/G011649/20100727063/
ところで、シェーダーデザインとして、プログラマーからのアプローチがOROCHIだったり、MTFだったりしますが、トライエースのアプローチはどちらになるんでしょう?
デザイナーがモデラーで作ったシェーダーをプログラムで解析、最適化してシェーダーソースを吐き出す。デザイナー優先の上手いやり方だな感動していたんですが。
長々とすいません。
その分、出来ることの幅は大きくとることを優先しているようです。
MTにしてもOROCHIにしてもシェーダーはアーティストではなくて、プログラマが書いて、調整やチューニングをアーティストにさせるようなフローです。日本の開発シーンは効率よりも緻密な作りを好むので、このアプローチは間違えていないと思います。
それと市場に関して言えば、大手ゲームスタジオは予算を掛けたゲームは海外展開を最初から意識していますね。
今回のE3でも、日本発売未定の海外向けドラゴンボールのゲームとかをナムコが見せてましたし…。
日本の自動車産業と同じです。
今、日本の自動車メーカーは海外向け最優先ですし。
最近の日本車が車幅1.8メートルをこえるのがざらなのはやはり欧米市場に合わせて最初から設計しているためですね。
脱線ついでにいいますと、例えばいま話題のトヨタ86も、車幅は、かつの手我が愛車RX-7(FD3S)よりも大きいんですよ。
ここらでもう一度、日本のゲームシーンを考えてみるべきなんじゃ無いかと思ったり。
まぁ、私の意見は多分に偏ってますけど!!
ぶっちゃけ、海外展開を意識したゲームスタジオからしたら、日本のゲーム市場なんてもはや取るに足りない、それだったらはなから海外市場に向けた開発ってことになるんですかね?