シリコンスタジオのポストエフェクトミドルウェアが、メジャーバージョンアップし「YEBIS2」となりました。
今回、そのYEBIS2のオフィシャルWebサイトのコンテンツ制作に携わらせていただきました。
GAMEWATCHで連載中の「西川善司の3Dゲームファンのための○○講座」で
「YEBIS」編を今年の初めにやっていますが、あの記事が比較的大きな反響を呼んだので、その絡みで担当させていただいたというわけです。
なお、実際のページ製作についてはシリコンスタジオさんの内部で行われています。
「YEBIS 2」は、HDRレンダリングを活用した次世代リアルタイム・ポストエフェクトを実現するミドルウェアです。
http://www.siliconstudio.co.jp/middleware/yebis/jp/
自分が担当したのは、ページの基本構成案とそのプロデュース、各種映像素材のディレクション、キャッチコピーの作成、そして各機能項目の解説のライティングとその英語翻訳監修などです。
そう、「YEBIS2」のWebサイトは英語版も用意されるんです。
ところで、現在、ゲーム開発シーンの先端では、ミドルウェアの細分化が進んでいます。
ゲーム開発における要素技術の種類というのは、それこそ20年前からほとんど変化はありません。
具体的に言えば、ゲームに必要なのはプレイヤー入力、サウンド、グラフィックス、AI、システム管理(ファイル管理、メモリ管理、スレッド管理)、ネットワークといった要素技術で、この種類自体は大きく変わってはいないということです。
しかし、時代が進むにつれて、その各要素は、ディープな方向に、あるいは高度な方向に進化してきています。そして、その各分野にはエキスパートが出現するようになり、彼らは他を圧倒するほどの技術を有し始め、そうした技術は周りから欲しがられるようになり始めました。
昨今のゲーム開発用の専門ミドルウェアの台頭にはそうした背景があります。
スクエニが公開した新世代ゲームエンジンLuminous Studioベースの「AGNI'S PHILOSOPHY」デモにも採用された「YEBIS2」
昔は誰もが自前でやっていた物理シミュレーションも、いまやHAVOKやPhysXといった著名物理ミドルウェアを利用することは珍しくなくなりました。このことは一般ユーザーですら実感している部分でしょう。
また、植物モデルなんてものは以前は、背景デザイナが設計するのが当たり前でしたが、コピペでは済まない多様や、より植物学的に正確な表現が求められるようになった昨今では、植物ミドルウェアのSpeedTreeが利用されることが増えてきています。
もっとハードウェアに近い話で言えば、不要な3Dオブジェクトをレンダリングパイプラインから排除する遮蔽物除去(オクルージョンカリング)の処理系は、かつてはグラフィックスプログラマが自前で実装するのが当たり前でした。しかし、1シーン当たり数千万ポリゴン、1フレーム当たり数百万ポリゴンという昨今のゲームグラフィックスレンダリングの世界では、より効率のよい手法が求められるようになり、オクルージョンカリング専任のミドルウェアというものも成り立つようになっています。
最近、急速に存在感をあらわにしている
Umbraは、まさにそうした種類の専門ミドルウェアですね。
ポストエフェクトも、ただ、レンダリング結果を後化粧するだけでなく、最近では、物理的に正しく、光学的に正確なものが認められてきており、そんな中、脚光を浴び始めているのが「YEBIS」というわけです。
実際、YEBISは、世界的に見ても、まだまだ珍しいポストエフェクト特化型のミドルウェアです。
しかも、あの日本を代表するグラフィックスエンジニアであり、海外でも認知度の高い川瀬正樹氏が開発を担当しているとなれば世界的にも高いブランドを発揮するはずで、その意味合いから、「YEBIS2」では、日本国内だけでなく、海外市場にも打って出ようとしているんだと思います。
今後の展開が楽しみですよね。
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