NVIDIAの新機軸を理解する(2):DirectXの進化が止まったいま,ゲームグラフィックスはもうGPGPUに頼るしかない!?

 短期集中連載「NVIDIAの新機軸を理解する」の第2回は、GPU内部の進化の歴史を振り返りつつ、直近のGPUでは、どんなGPGPU的フィーチャーが実装されているかを解説しました。

 「GPUにそんな高度な機能が搭載されていても使わないし」と言う人も多いと思いますが、実際とのところCPUの場合も、超越関数演算にも対応した倍精度浮動小数点演算命令やら、数世代にわたって増築を重ねたSIMD系の命令群などが実装されていますし、まぁ、プロセッサの進化というものはそういうモンなんですよね。

 で、膨らみすぎると、ガツンっと不要なモノをそぎ落としたシンプル版が組み込み用に出たりする…という。

025.jpg
NVIDIAの新機軸を理解する(2):DirectXの進化が止まったいま,ゲームグラフィックスはもうGPGPUに頼るしかない!?
http://www.4gamer.net/games/076/G007660/20120911026/

 話を戻すと、記事では、最新のKEPLERコアで実装された疎密な粒度混在型シミュレーション計算に役立ちそうなDynamic Parallelismや、異なるカーネルをオーバーラップ実行できるHYPER-Qなどの概念の解説を行っています。

 GPUは、今後、レンダリングフィーチャーの機能増設ではなく、こうしたGPGPU向けの機能拡張に注力していくのかも知れません。最近ではGPGPUフィーチャーを効果的に応用したレンダラも出現していますし、業界的にもそうした方向で納得しているような空気感が漂い始めています。

020.jpg

 「GPGPUをグラフィックス用途に使う事って、それGPGPU?」という指摘もありますが、「むしろ旧来のレンダリングパイプラインに制約されないレンダリングメソッドの考案にも役に立ちそう」…という期待感から、技術志向の高いゲームスタジオでは、ポストエフェクトのGPGPU化を皮切りに研究をスタートさせているところも少なくないようです。

 思えば、EPIC GAMESのTIM SWEENEY氏が、2008年にCEDEC2008で来日したときに、「2020年くらいまでにグラフィックスレンダリングはソフトウェア化するのではないか」という、当時としてはなかなか衝撃的な未来予想図を語っていました(下記)。

CEDEC 2008 - EPIC GAMESのTIM SWEENEYが語る「10年後のゲーム機の姿、ソフトウェアの形」(前編)
http://news.mynavi.jp/articles/2008/09/22/cedec01/index.html

CEDEC 2008 - EPIC GAMESのTIM SWEENEYが語る「10年後のゲーム機の姿、ソフトウェアの形」(後編)
http://news.mynavi.jp/articles/2008/09/23/cedec02/

 当時はインテルのLarrabeeに対する期待感が高まっていたのでそれを受けた発表だったとは思います。しばらくのち、Larrabeeは開発中止になりはしましたが、こうしたGPUのGPGPUセントリックな進化状況を見ていると、当時の彼の予想もあながち間違えてはいないのかも…と思えてきます。

このエントリーをはてなブックマークに追加
オンライン仕事 > 4gamer.net | comments (0) | trackbacks (0)

Comments

Comment Form

icons:

Trackbacks