DirectX11世代のGPUになって入力されたポリゴン(プリミティブ)をプログラマブルに分割生成するテッセレーションステージが搭載されました。
なかなか凄い機能なのですが、コンテンツ制作ツール側からのサポートがないと使いづらいという声も多かったのでした。
しかし、コンテンツ制作ツール側でサポートしているテッセレーション機能はCatmull-Clark法と呼ばれるテッセレーションメソッドで、これは「トイストーリー」で有名なピクサーが特許技術を抑えています。
[SIGGRAPH]Pixar,「OpenSubdiv」によりCatmull-Clark法のテッセレーション技術をオープン化。DCCツールからゲームエンジンまでがPixar品質に!?
http://www.4gamer.net/games/017/G001762/20120813035/
CG映画製作では、DCCツールを使って映像コンテンツを作るだけなので、その制作物に特許使用料が課せられることはありませんが、ゲームの場合は、もし、Catmull-Clark法を実装したとするとランタイムに特許に抵触するコードが載ることになります。
これは、CG技術発展のためにならないと判断したピクサーは、今年、Catmull-Clark法とその周辺技術の特許をオープンライセンス化する…という発表を行ったのでした。
テッセレーション技術は、これまでどちらかと言えば、無理矢理ワンポイント的に活用するだけのものになっていましたが、最近では、Approximating Catmull-Clark(ACC)法をジオメトリエンジンコアに組み込んだゲームエンジンも開発されているという話も出てきていたりするので、今後、ゲーム開発シーンにおいてテッセレーション技術が積極活用されるようになるかも知れません。
組み込み機器向けのグラフィックスコアと言えばImagination TechnolgoiesのPowerVRが有名です。最近では、NVIDIAのTEGRA、ARMのMail、QualcommのAdrenoといった新興勢力が力を付けてきており、携帯情報機器プラットフォームの戦場で熾烈な戦いが繰り広げられています。
まるで、1990年代の血で血を洗うようなPC向けGPU激戦時代が、現代に甦っているかのような印象です。
[SIGGRAPH]Kepler相当のグラフィックス性能をスマートフォンで実現。Samsung,「Samsung reconfigurable GPU based on RayTracing」を披露
http://www.4gamer.net/games/017/G001762/20120809083/
そんな中、スマートフォンメーカーとしては一大勢力にのし上がったサムスンが、オリジナルのグラフィックスコアを開発中であることを発表しました。
それも、プログラマブルレイトレーシングに対応した新アーキテクチャのグラフィックスコアです。
スマートフォンにおける3Dグラフィックスは「小さな画面サイズ相応の粗いジオメトリ分解能で十分」という解釈があります。
その一方で、そこに表示される映像品質そのものはリアルにしていきたいという動向も強くあります。
そこで、1ピクセルに詰め込む情報精度,品質を上げていこうというモチベーションが高まり、それが「モバイルグラフィックスのレイトレーシング化」につながっているといわれています。
そういえば、Imagination Technologiesも、
将来のPowerVRにプログラマブルレイトレーシングユニットを搭載する計画を発表していますし、今後、こうした流れが強まっていくのでしょうか。
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