久々の「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」は、発売後、丁度1年が経過したPS Vita用の「GRAVITY DAZE」です。
著者近影の写真を見てもらっても分かるように、取材は去年行ったものです(笑)。
掲載までに時間が掛かりましたが、その分、開発チーム初出しの素材や、彼らがGDCやCEDEC等で発表していない未公開ネタなども紹介することができました。
西川善司の3Dゲームファンのための「GRAVITY DAZE」グラフィックス講座(前編)
PS Vitaで4倍速半透明描画を行なう秘策と300万ポリゴンのシーンをレンダリングするための裏技とは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20130212_586726.html
前編では、PS VitaのGPUであるPowerVR SGX543MP4+のプログラミングテクニック的な内容にフォーカスしています。逆に後編の方はアーティスティックな話題としました。
初出しネタとしてホットなのは、PowerVR SGX543MP4+のMSAA処理特性をハックして実践したフィルレート2倍描き出しテクニックですかね。
カプコンのMTフレームワークチームがXbox360でよく似た手法を実践していましたが、まさに、アレのPS Vita版裏技って感じです。
GRAVITY DAZEはゲームもよくできていますが、PS Vitaというハードウェアに対する研究もかなり深くやっていて、「コレ試したら出来た」「使えるぜ!」という感じで、次から次へとユニークなテクニックを導入しており、技術的にも見るべき点が多い作品です。
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開発リードの横川氏にいわせると「PS Vitaは、手の内でいろいろこねくり回せる昔ながらのゲーム機としてのよさと、近代ゲーム機のモダンさが非常にうまい具合でバランスされた面白いハード」だそうです。
たしかに。言い得て妙って感じです。
PS Vitaは、ホント、もう少し盛り上がるといいんですけどねぇ…。
記事では、この他、独自実装したオクルージョンカリングの話題、ダブルバッファを用いずカメラを1フレーム遅らせる工夫についての話題を取り扱っています。
“現在”のゲーム世界を、“前”フレーム時のオクルージョンカリングの結果情報を用いて、“前”フレーム時の視点(カメラ)でレンダリングする、という…仕組みは色々と応用が利きそうですね。
そうそう。
GRAVITY DAZEは
文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門で「優秀賞」を獲得しました。
今週から来週にかけて国立新美術館や東京ミッドタウンで受賞作品展が行われたり、開発者の講演などが執り行われます。
興味がある人は、
こちらをどうぞ。
狙ったわけではないですが、丁度このタイミングでの記事掲載となって幸いでした。
【おまけ】
この連載の取材を受けた人は分かりますが、取材時間は短くて2時間、長いと4時間超になるんで、取材を受ける側にとっても相当負荷の高いタスクです。
今回もそうでしたけど、みなさん、ほんと丁寧に説明してくれるんで助かってます。
今後ともよろしくです。
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